【未掲載】00~10年 ストックビジネス

2000年になってもゆとりは出ず、仕事はかえって忙しくなった。

 不動産については、分譲マンション販売、管理や自社物件の取得。ホテルについては、二年に一棟ずつのオープン。不動産とビジネスホテルの二本柱がこの時期にはっきり形成されていった。

ところで、不動産事業は大きく分けて二通りある。一つは「フローのビジネス」と言われ、仲介業がその代表である。分譲マンションも、売った後は残らないので、「フローのビジネス」と言える。

もうひとつは「ストックビジネス」と言われ、収益物件の所有経営がそれに当たる。

当社は、2006年頃からストックビジネスにも目を向け、積極的に賃貸アパート、マンションを所有して行った。それらを、「フロンティア」シリーズ、「ユートピア」シリーズなどと名づけた。

銀行取引も順調で、分譲マンションについては信用金庫、ビジネスホテルについては西日本シティ銀行という大きな流れができた。そして自社所有の賃貸物件については、信金や西銀に加えてみずほ銀行や十八銀行などが案件に応じて積極的に対応してくれた。

分譲マンションの融資についは、「ワンフロア二戸」のスタイルが小規模なため、融資額が比較的低く押さえられることと、全ての分譲が完成前に完売だったため、信金は柔軟に対応してくれて、スムーズに運んだ。

ソニー駐車場

 ある日突然ソニーから、「千台くらいの駐車場が必要になったので、至急探してほしい」

との要望が入った。三菱重工から駐車場用に借りていた広い土地が、三菱の都合で至急返さなければならなくなったとのこと。2006年秋のことである。

 千台の駐車場といえば、簡単ではない。五千坪を超える土地が必要だ。

 適地を探しあぐねていたところソニーから、「あそこの工場は移転するようだが、どうだろうか」との情報が入ったので、さっそく当たってみたとろ、その会社は「貸さないが、売ってもよい」との返事だった。当時はソニーは不動産を購入する方針はなく、「ジスコが買って、それをソニーが借りる形がよい」とのことだったので、思い切ってその土地を買う決心をした。

さっそく西銀に相談したところ、融資OKとの返事をいただいたので、売主と何度か交渉を重ねた結果、売買契約が成立した。千台とまではいかないが、かなりの台数を収容可能な四千百坪の広い土地だった。

 その後、西銀のアドバイスも入れながら、ソニーと駐車場賃貸借契約を結び、建物を解体し、アスファルト舗装をして、駐車枠の線引きをして、六百台以上収容できる立派な駐車場が完成した。

2022年2月に満期を迎える。今後については、現在話し合い中である。