【未掲載】我流の経営 合理化

手書き

「詫び状くらい手書きで書け!」怒ったお客様から吐き捨てるように言われた。

 クレーム対応のため、お詫びの手紙を持ってお客様のところへお伺いしたときのことである。ワープロで体裁よく書いたつもりだが、お客様には「気持ちがこもっていない。形式的だ」と映ったのだ。

 私は、お客様の強い叱責で、目が覚めた。

「よし、これからは手書きを取り入れよう!」50歳の発心だった。

 それからしばらくして、どうせ書くなら毛筆にしようと思い立った。習字は習ったことがなく我流であったが、丁寧に書けば見やすいし、気持ちは感じ取ってもらえる。

いろいろ筆を探したが、ぺんてるの筆ペンが最もフィットしたので、それを愛用している。

 手書きの最初のクライマックスは2005年、県下初の「不動産証券化」が認可されて、1億円の社債を募集するときだった。

お願い文を、精魂を込めて毛筆で書いたが、その効果もあって、無事1億円が集まり、大いに事業に役立った。

以来、相変わらず下手だが、活字の文書でも、できるだけ毛筆で書き添えるようにしている。        

音声入力

 文字入力の競争をしたら、多分、日本一のタイピストよりも私たちのほうが速いと思う。『音声入力方法を利用するからだ。』

 この自分史も音声入力で書いているが、もし手書きやキーボード入力なら、途中でとっくに諦めていただろう。

サイン

 印鑑よりもサインのほうが簡単で、証拠力も強い。また、保管の必要もなく、個性的でもある。当社は、全員がサインだ。大谷選手のサインがもし印鑑だったら、価値があるだろうか?

キャッシュレス 

ホテルでも不動産でも、極力お客様から現金を受け取らないようにしている。現金によってどれだけ人間は煩わされているだろうか。

「さんづけ」

社員間は、東京ディズニーランドにならって「さん」にしている。

持参、訪問

商談の相手のところへは、開業以来、極力こちらから出かけて行くように気がけている。そのほうが、相手が恐縮してくれて、商談がスムーズに進みやすい。

毎月の銀行への報告書も、私自身が持参している。会社の代表が持ってきたということで、一定の評価をしていただけるようだ。

本社移転 

00年代は多忙のうちに過ぎて行った。07年にはホテルプレミアが完成し、不動産の本社もそこに移転した。

 気がつけば2010年も暮。翌年は65歳で、もう定年の歳だ。

その矢先、2011年、ショックは起きた。