【未掲載】 子どもたちの味方に
パルファンの子ども食堂は毎回盛況だった。
しかし、開催するうちに気づいたことは、子どもの足では遠くへ行けないということだ。来てくれるのは、近くの子が多かった。活動を実のあるものにするためには、せめてもう一ヶ所は必要だ。
狙いを定めたのは、「西諫早ニュータウン地区」だ。そこには、2万人くらいの人口がある。
開催に適した場所を知らなかったので、公民館での開催を考えた。諫早市の公民館管理者に相談したところ、予想外にガードが固く、「絶対に会社名は出したらいけませんよ」、「開催当日のノボリにも社名を入れたらダメです」と何度も念を押された。まるで、私たちが売名行為をするのではないかと疑っているかのようだった。
私たちは、ボランティア活動のつもりでいたので、役所の目線と私たちの思いに大きな隔たりがあることに気づいて驚いた。
「ボランティア活動として認められるようにもっと頑張らなければ」。そう強く思った。
ニュータウンでの開催に当たって嬉しかったことは、子どもたちの相手をしようというボランティアの方々がたくさん現れたことだ。
子どもが大好きで、将棋やゲームの相手をしてくれる城野さんがその代表だった。高校生も、どこからか聞き付けて駆けつけてくれた。こうして、2店目も順調に動きはじめた。
やがて、開催を続けてゆくうちに、「諫早だけでなく他のまちでもできないだろうか」という思いが芽生えた。
「そうだ、ホテルがある!」
私たちは、ビジネスホテルをあちこちで展開している。大村市、多良見町、島原市 … これらのホテルは、広い食堂やロビーがあり、朝食係をはじめスタッフもいる。子ども食堂のお膳立てはできているではないか。
ホテルスタッフに相談したところ、皆さん気持ちよく賛成してくれたので、さっそく三カ所で相次いでオープンした。案の定、どのホテルの会場も人気で、子どもたちの笑顔が見られた。
そうこうするうちに、雲仙市の金澤市長さんから連絡があり、何事かと思って来訪をお待ちしていると、「徳永さん、小浜町の浜観ホテルでも、子ども食堂を開いてくれませんか」とのことだった。
私たちの子ども食堂活動が行政にも知られ、一定の評価も得られているということが分かって、非常に嬉しかった。
もちろん、即座にお受けした。その後、最近オープンした西海ホテルでも、西海市の期待を担いながら7店目を開店させた。
私たちの「子ども食堂」や「子ども宅食」の活動は、氷山の一角に過ぎない。しかし、まちの子どもたちが、ひととき空腹を満たして「世の中のどこかに自分の味方がいる」と少しでも思って安らぎを感じてくれれば、意義があるのではないだろうか。そう思いながら、つたない活動を続けている。
2021年、創立40周年を記念して、「 ジスコ子ども支援株式会社」 を設立した。
そこに不動産とホテルから1億円を基金として貸し付け、毎年、その収益や基金を子ども支援に充てることを決めた。
この仕組みがどれほど役に立つか、未知数ではあるが、ともかく前へ進んで行こう!
子どもたちの笑顔を楽しみに、限りない可能性を信じながら…